この記事では、PixelシリーズでAndroid OSをダウングレードする方法を解説します。
同じGoogleデバイスである、Nexusシリーズにも当てはまる内容ですので、ぜひどうぞ。
本記事の内容は、Pixel/Nexusシリーズに特化しています。
その他の機種でOSをダウングレードしたい場合、詳細を関連記事【AndroidのOSをダウングレードする方法まとめ! スマホのソフトウェアバージョンを下げてアップデートを元に戻そう】で解説しています。

OSダウングレードのメリット/デメリットについても触れているので、ぜひどうぞ。
PixelでAndroid OSをバージョンダウンする方法
本パートでは、具体的にOSをダウングレードする手順を解説します。
Pixel/Nexusシリーズは、Googleがファクトリーイメージ(Factory Image)を公開しているため、過去のイメージファイルから好きなOSバージョンへ戻せる可能性があります。
次の流れで説明します。
- 手順①パソコンのadb環境を用意する
- 手順②ブートローダーをアンロックする
- 手順③ファクトリーイメージを読み込む
- 参考flash-all.batの実行に失敗する原因
なおファクトリーイメージを読み込むと、Androidが強制的に初期化されます。
大切なデータがあれば、事前のバックアップを忘れずに。
バックアップに関する情報は、関連記事【Androidのデータをバックアップする方法! スマートフォンのデータを保存する特徴と使い方まとめ】で解説しています。

手順①:パソコンのadb環境を用意する
次の3つを用意します。
- パソコンのadb環境を用意する
- USBケーブルを用意する
- USBデバッグとOEMロック解除を有効にする
パソコンのadb環境を用意する
お使いのパソコンでadbコマンドを使用できる環境を用意して下さい。
Windows・Macそれぞれにおける手順は関連記事で解説しています。


USBケーブルを用意する
パソコンとAndroidを接続するケーブルも必要です。
AndroidのUSB端子の形状(micro USB / Type C)に合わせ用意しましょう。
USBデバッグとOEMロック解除を有効にする
設定の システム から 開発者向けオプション を開きます。
初めて開発者向けオプションを使う場合、デバイス情報の ビルド番号 を連続タップして、メニューを表示させて下さい。
詳細は関連記事【Android「開発者向けオプション」の基本と表示/非表示にする方法まとめ! デベロッパーモードで隠れ機能を使おう】で解説しています。

開発者向けオプションの一覧より、USBデバッグとOEMロック解除、それぞれを有効にして下さい。
▼USBデバッグ
USBデバッグの特徴・リスクについては、関連記事【AndroidでUSBデバッグを有効/無効にする方法! 設定をオンオフ切り替えよう】で解説しています。

▼OEMロック解除
手順②:ブートローダーをアンロックする
ブートローダー(Bootloader)とは、Androidの起動直後にOSを読み込んで、最初に実行するプログラムのことです。
OSを差し替えてもブートローダーでガード可能なため、セキュリティ上、通常はロックがかかっています。
が、機種によっては、このロックを解除(=Bootloader Unlock)する方法が用意されており、ファクトリーイメージの読み込みが可能となります。
まずAndroidでブートローダーを起動するため、次のadbコマンドを実行します。
adb reboot bootloader
続いて次のfastbootコマンドで、ブートローダーを解除します。
fastboot flashing unlock
うまくコマンドが通ると、Bootloader Unlockに関する画面が表示されます。
音量上げ・下げ キーでメニューを「Unlock the bootloader」に切り替え、電源 キーで決定します。

「Unlock the bootloader」メニューが出るまで、音量キーを押下する。
これでブートローダーをアンロックできました。
そのまま 電源 キーを押して、Androidを再起動して下さい。
ここまで簡潔に説明しましたが、より詳細な手順は関連記事【Pixelでブートローダーをアンロックする方法! AndroidでOEMロック解除してBootloader Unlockしよう】で解説しています。

手順③:ファクトリーイメージを読み込む
まずGoogleのデベロッパー向けサイトからファクトリーイメージをダウンロードします。
端末ごと歴代のAndroid OSバージョンが公開されているため、ダウングレードしたい希望バージョンを見つけて下さい。

Pixel 3a XLのAndroid OS 9のイメージをダウンロードする例。
ダウンロードしたファイルを展開しましょう。
次にAndroidでブートローダーを起動します。
パソコンとUSB接続の上、次のadbコマンドを実行します。
adb reboot bootloader
または端末の電源をオフにして、画面が変わるまで 電源 キーと 音量下げ キーを同時に長押しでもOK。

Pixel 3a XLの例。
端末が再起動され、通常とは異なるfastbootモードの画面が表示されます。
以降の流れはWindowsとMacで異なるため、それぞれ解説します。
Windowsの手順
ブートローダーを起動したAndroidとパソコンを接続します。
その後、展開したフォルダに含まれるファイル「flash-all.bat」をダブルクリックで起動します。
コマンドプロンプトが自動起動し、ファクトリーイメージの読み込みが進みます。
しばらく時間がかかるため、待ちましょう。
最後に次のメッセージが表示されれば完了です。
Finished. Total time: ●●s
Macの手順
ブートローダーを起動したAndroidとパソコンを接続します。
その後にcdコマンドを使って、カレントディレクトリをダウンロードしたファクトリーイメージのフォルダへ変更します。
まず下記コマンドを入力し、後ろに半角スペースを空けます。
cd
続けてダウンロードしたファクトリーイメージのフォルダをドラッグ&ドロップし、 enter で実行します。
これでカレントディレクトリが変更されます。
試しに下記コマンドを実行して下さい。
ls
最後に下記コマンドで「flash-all.sh」ファイルを実行します。
sh flash-all.sh
ファクトリーイメージの読み込みが進みます。
しばらく時間がかかるため、待ちましょう。
最後に次のメッセージが表示されれば完了です。
finished. total time: ●●s
ファクトリーイメージの読み込みに成功すると、Android側で自動的に再起動・初期化が進みます。

最初の初期設定画面が表示される。
設定からAndroid OSバージョンを確認し、ダウングレードできていれば成功です!

Android 11→9へダウングレードした例。
参考:ファイルflash-all.batの実行に失敗する原因と解決策
ファイル「flash-all.bat」を実行してもうまくいかない場合、よくあるミスとその対処法を解説します。
エラーメッセージ | 原因 |
---|---|
waiting for any device | Androidのブートローダーが起動していない |
パスはサポートされません | ファクトリーイメージの保存場所に問題あり |
Checking product FAILED | ファクトリーイメージが端末に対応していない |
エラー例①:waiting for any device
コマンドプロンプトで次のメッセージが表示された場合、
< waiting for any device >
Androidのブートローダーが起動されているか確認して下さい。
エラー例②:パスはサポートされません
コマンドプロンプトで次のメッセージが表示された場合、
パスはサポートされません
ダウンロードしたファクトリーイメージが保存されるパスを確認して下さい。
例えば、adbコマンドのパスを通した「Android SDKプラットフォームツール」を保存したディレクトリが「C:\」直下の場合、ファクトリーイメージも「C:\」直下に保存する必要があります。
もし「Desktop」や「Documents」に保存されたままファイル「flash-all.bat」を実行すると、このようなエラーが表示されます。
エラー例③:Checking product FAILED
コマンドプロンプトで次のメッセージが表示された場合、
Checking product FAILED
ダウンロードしたファクトリーイメージが端末に対応していない可能性があります。
改めてGoogleのデベロッパー向けサイトから、対応するファクトリーイメージをダウンロードして下さい。
補足:スマホのOSダウングレードに関するアレコレ
本パートでは、Android OSバージョンダウンに関連する細かい情報を補足します。
興味があればどうぞ。
- 補足①元のAndroid OSバージョンに戻す方法
- 補足②ブートローダーを再ロック&OEMロック解除をオフにする方法
- 補足③Androidアプリのバージョンをダウングレードする方法
元のAndroid OSバージョンに戻す方法
ダウングレード後に元のAndroid OSバージョンへ戻したい場合、2つ方法があります。
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
①:通常のOTA アップデートを実行する |
|
|
②:最新のファクトリー イメージを読み込む |
|
|
1. 通常のOTAアップデートを実行する
設定より システムアップデート を実行すれば、Android OSをバージョンアップ可能です。
配信される最新OSへバージョンアップしたいなら、こちらの方法がオススメです。
アップデート手順の詳細は、関連記事【AndroidのOSバージョンを調べアップデートする方法! 最新機能へソフトウェアを上げよう】で解説しています。

2. 最新のファクトリーイメージを読み込む
ダウングレード時と同じ流れで、Googleのデベロッパー向けサイトからファクトリーイメージを見つけ、読み込むことでAndroid OSバージョンが元通りになります。
マイナーバージョン単位で細かく調整したいなら、こちらの方法がオススメです。
ただしパソコンのadb環境を用意する必要があり、作業は面倒です。
また(ダウングレード時と同じく)ファクトリーイメージを読み込むことで、Androidのデータは初期化されます。
ブートローダーを再ロック&OEMロック解除をオフにする方法
OSダウングレードの過程で、OEMロックを解除しています。
が、「端末保護機能が使えなくなる」等のセキュリティリスクがあるため、ダウングレード作業が終了したら元の状態に戻すのが理想です。
端末保護機能の詳細な情報は、関連記事【Android「このデバイスはリセットされました」の原因と解決方法! GoogleアカウントのDevice Protection(端末保護機能)を解除しよう】で解説しています。

具体的には、次の流れで作業します。
- ブートローダーを再ロックする
- OEMロック解除をオフにする
1. ブートローダーを再ロックする
まずAndroidでブートローダーを起動するため、次のadbコマンドを実行します。
adb reboot bootloader
続いて次のfastbootコマンドで、ブートローダーを解除します。
fastboot flashing lock
うまくコマンドが通ると、Bootloader lockに関する画面が表示されます。
音量上げ・下げ キーでメニューを「Lock the bootloader」に切り替え、電源 キーで決定します。

「Lock the bootloader」メニューが出るまで、音量キーを押下する。
これでブートローダーを再ロックできました。
そのまま 電源 キーを押して、Androidを再起動して下さい。
2. OEMロック解除をオフにする
設定の システム から 開発者向けオプション を開き、
OEMロック解除をオフに切り替えればOKです。
もし次のメッセージが表示される場合、ブートローダーがアンロックされているので、先に再ロックが必要です。
ブートローダーは既にロック解除されています

開発者向けオプションを開いても、OEMロック解除がグレーアウトされて選択できない。
以上、説明でした。
OSダウングレードに成功しているなら、決して難しい操作ではないでしょう。
セキュリティリスクを考慮すると、元の状態に戻しておくことをオススメします。
Androidアプリのバージョンをダウングレードする方法
Androidアプリの最新バージョンはPlayストアで入手できますが、過去のバージョンは配布されません。
従って、古いバージョンのapkファイルを自分で用意・インストールすることで、アプリのダウングレードを実現できます。
apkファイルを用意する方法は、主に3パターンあります。いずれも基本的にパソコン不要です。
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
①:Android端末内から apkを抽出する |
|
|
②:ネットから古いバージョン のapkを入手する |
|
|
③:OSにプリインストール されるapkを使う |
|
|
いずれの方法も共通して、バージョンダウンに伴い既存アプリが初期化されます。
が、さらに別の方法を使えば、データを保持したままダウングレードを実現することも可能です。
説明が長くなるため、詳細は関連記事【Androidアプリをダウングレードする方法! apkファイルをダウンロードして元の旧バージョンへ戻そう】で解説しています。

〆:好きなOSバージョンへダウングレードしよう!
以上、PixelやNexusのOSをダウングレードする方法! Googleファクトリーイメージでソフトウェアバージョンを下げよう の説明でした。
OSアップデートで後悔しても、Googleデバイス(Pixel/Nexusシリーズ)なら元に戻すことが可能です。
該当機種をお使いであれば、ぜひご参考あれ。
コメント
Snapshot cancel FAILED (remote: ‘unknown command’)
fastboot: error: Command failed
Press any key to exit…
と出てしまい、終われません。対処法有れば教えてください。
私も、これに悩ませました。
どうやら、古いNexus端末などは、古いadbコマンドを入れなければいけないらしいです。
まず、こちらの、アドレスから、タウンろーどします。
https://dl.google.com/android/repository/platform-tools_r26.0.2-windows.zip
もし、MacOSなら、windows.zipを、mac.zipにしてくださいね。
そして、こちらの、ページを参照して、今まで使っていた、adbを削除します。
左下の、windowsアイコンを左クリック、システムを選択。
システムの情報>システムの詳細設定>環境変数>システムの環境変数>Path>Platformtoolsを削除します。
そしたら、以下のページで、adb環境を再構築します。
(adbコマンドをインストールは、上のリンクから、ダウンロードしてください。)
windowsのやり方を教えましたが、Macだと、やり方が違うので、それだったらおしえてください。
hanaさんと同じような症状だったのでadb環境を再構築しましたが
checking product…
OKAY [ 0.062s]
cheking partition-exists…
FAILED(remote:variable not found)
finished. total time: 0.359s
Press any key to exit…
となったまま動きません。
OSのバージョンをいくつか試しましたが駄目でした。
対処の方法を教えていただけませんか?
よろしくお願いします。