この記事では、Androidでブートローダーをアンロックする方法を説明します。
具体的にはPixel 3a XLを例に、ブートローダーの基本から細かい作業手順まで解説しているので、ぜひどうぞ。
スマホでBootloader Unlockするやり方
本パートでは、具体的にブートローダーを解除する手順を解説します。
最初にブートローダーの基本情報も説明しているので、合わせてどうぞ
- 前提ブートローダーを解除するとは? -メリット/デメリット-
- 説明①Pixelでブートローダーをアンロックする方法
- 説明②ブートローダーを再度ロックする方法
前提:ブートローダーを解除するとは? -メリット/デメリット-
ブートローダー(Bootloader)とは、Androidの起動直後にOSを読み込んで、最初に実行するプログラムのことです。
OSを差し替えてもブートローダーでガード可能なため、セキュリティ上、通常はロックがかかっています。
が、機種によっては、このロックを解除(=Bootloader Unlock)する方法が用意されており、ほんらいは許可されないカスタマイズが可能となります。
▼Bootloader Unlockの特徴
メリット | デメリット |
---|---|
|

デメリットの一例。強制的に初期化となる。
日本国内のキャリアから販売される機種は、そもそもブートローダーのアンロックができないケースが多いですが、Pixelシリーズなど海外製SIMフリー端末では対応しています。
▼Bootloader Unlockの対応機種(例)
機種 | 対応状況 |
---|---|
Pixelシリーズ | ○ ※公式より提供あり(申請不要) |
Xperiaシリーズ | △ ※海外版のみ公式より提供あり(申請要) ※国内キャリア版は不可 |
Huaweiシリーズ | ✕ ※2018年から公式の提供停止 |
Xiaomiシリーズ | ○ ※公式より提供あり(申請要) |
本記事では、Pixel 3a XLを例にブートローダーをアンロックする手順を紹介します。
Pixelでブートローダーをアンロックする方法
次の3ステップで作業します。
- パソコンのadb環境を用意する
- AndroidのUSBデバッグ・OEMロック解除をオンにする
- fastbootコマンドでブートローダーをアンロックする
なおブートローダーをアンロックすると、セキュリティ上のリスクが増すことから、個人情報を守る観点で、Androidが強制的に初期化されます。
大切なデータがあれば、事前のバックアップを忘れずに。
バックアップに関する情報は、関連記事【Androidのデータをバックアップする方法! スマートフォンのデータを保存する特徴と使い方まとめ】で解説しています。

1. パソコンのadb環境を用意する
お使いのパソコンでadbコマンドを使用できる環境を用意して下さい。
Windows・Macそれぞれにおける手順は関連記事で解説しています。


またパソコンとAndroidを接続するケーブルも必要です。
AndroidのUSB端子の形状(micro USB / Type C)に合わせ用意しましょう。
2. AndroidのUSBデバッグ・OEMロック解除をオンにする
設定の システム から 開発者向けオプション を開きます。
初めて開発者向けオプションを使う場合、デバイス情報の ビルド番号 を連続タップして、メニューを表示させて下さい。
詳細は関連記事【Android「開発者向けオプション」の基本と表示/非表示にする方法まとめ! デベロッパーモードで隠れ機能を使おう】で解説しています。

開発者向けオプションの一覧より、USBデバッグとOEMロック解除、それぞれを有効にして下さい。
▼USBデバッグ
USBデバッグの特徴・リスクについては、関連記事【AndroidでUSBデバッグを有効/無効にする方法! 設定をオンオフ切り替えよう】で解説しています。

▼OEMロック解除
3. fastbootコマンドでブートローダーをアンロックする
まずAndroidでブートローダーを起動します。
パソコンとUSB接続の上、次のadbコマンドを実行します。
adb reboot bootloader
または端末の電源をオフにして、画面が変わるまで 電源 キーと 音量下げ キーを同時に長押しでもOK。

Pixel 3a XLの例。
端末が再起動され、通常とは異なるfastbootモードの画面が表示されます。
次のfastbootコマンドで、ブートローダーを解除します。
fastboot flashing unlock
なお古いデバイス(2014年以前)の場合、代わりに次のコマンド入力が必要です。
fastboot oem unlock
うまくコマンドが通ると、Bootloader Unlockに関する画面が表示されます。
音量上げ・下げ キーでメニューを「Unlock the bootloader」に切り替え、電源 キーで決定します。

「Unlock the bootloader」メニューが出るまで、音量キーを押下する。
再びfastbootモードの画面となり、「Device state」が unlocked へ切り替わっているはずです。
そのまま 電源 キーを押せば、Androidが再起動します。
または、パソコン側で次のコマンドを実行してもOK。
fastboot reboot
ブートローダーを解除した端末では、再起動の途中、下記メッセージ画面が表示されるようになります。
The bootloader is unlocked and software integrity cannot be guaranteed. Any data stored on the device may be available to attackers. Do not store any sensitive data on the device. Visit this link on antoher device g.co/ABH
工場出荷状態の画面となれば、ブートローダーのアンロックは完了です。

ブートローダーを解除すると、端末が初期化される。
以上、説明でした。
fastbootモードの画面を見ると、高度な知識が必要そうな印象を受けますが、ブートローダーのアンロックだけなら決して難しくありません。
ブートローダーを再度ロックする方法
手順はアンロック時と同じ流れで、まずAndroidのブートローダーを起動します。
パソコンとUSB接続の上、次のadbコマンドを実行して下さい。
adb reboot bootloader
次にfastbootコマンドで、ブートローダーを再ロックします。
fastboot flashing lock
なお古いデバイス(2014年以前)の場合、代わりに次のコマンド入力が必要です。
fastboot oem lock
うまくコマンドが通ると、Bootloader lockに関する画面が表示されます。
音量上げ・下げ キーでメニューを「Lock the bootloader」に切り替え、電源 キーで決定します。

「Lock the bootloader」メニューが出るまで、音量キーを押下する。
再びfastbootモードの画面となり、最初のとき同様「Device state」が locked へ戻っているはずです。
そのまま 電源 キーを押せば、Androidが再起動して、工場出荷状態の画面となり完了です。

ブートローダーを再ロックすると、端末が初期化される。
以上、説明でした。
ブートローダーのアンロックは、セキュリティ上のリスクが高まります。
当初の目的(例:OSダウングレード)が達成された後、可能であれば元の状態へ戻したほうがよいでしょう。
補足:Androidのブートローダーアンロックに関するアレコレ
本パートでは、Bootloader Unlockに関連する細かい情報を補足します。
興味があればどうぞ。
- 補足①OEMロック解除を元に戻す方法
- 補足②fastbootモードで知ってると便利なコマンド一覧
- 補足③ブートローダーを起動してリカバリーモードに入る方法
OEMロック解除を元に戻す方法
ブートローダーをアンロックする過程でOEMロックの解除が必要ですが、この作業により、端末保護機能(Device Protection)が無効化されます。
端末保護機能の詳細な情報は、関連記事【Android「このデバイスはリセットされました」の原因と解決方法! GoogleアカウントのDevice Protection(端末保護機能)を解除しよう】で解説しています。

セキュリティの観点より、可能であれば元のOEMロック状態に戻すのが理想です。
が、ブートローダーがアンロックされた状態では下記メッセージが表示され、OEMロック解除をオフに切り替えできません。
ブートローダーは既にロック解除されています

開発者向けオプションを開いても、OEMロック解除がグレーアウトされて選択できない。
OEMロック解除を元に戻したい場合、まずブートローダーに再度ロックをかけ、その後に操作すればOKです。

ブートローダー再ロック後なら、OEMロック解除が選択可能となる。
fastbootモードで知ってると便利なコマンド一覧
ブートローダーをアンロックする際、知ってると役立つfastbootコマンドです。
コマンド | 実行内容 |
---|---|
fastboot devices | fastbootモードで接続中の端末を表示 |
fastboot reboot | Androidを再起動 |
fastboot reboot-bootloader | fastbootモードを再起動 |
fastboot flashing unlock/lock | ブートローダーをアンロック/ロック |
fastboot devices – fastbootモードで接続中の端末を表示
fastbootコマンドを実行しても反応がない場合、そもそも端末が認識されているか確認したいシーンで便利です。
fastboot reboot – Androidを再起動
コマンド実行後、または何らかの不具合が起きた際、端末を再起動したいシーンで便利です。
fastboot reboot-bootloader – fastbootモードを再起動
作業中、いったん最初のfastbootモード画面に戻したいシーンで便利です。
fastboot flashing unlock/lock – ブートローダーをアンロック/ロック
ブートローダーをアンロック or 再ロックする際に使用します。
古いデバイス(2014年以前)の場合、次のようにコマンドが異なります。
fastboot oem unlock/lock
なお次のエラーが表示される場合、Android側でOEMロック解除されてないことが原因です。
FAILED (remote: 'flashing unlock is not allowed')
開発者向けオプションより OEMロック解除 項目を確認して下さい。
ブートローダーを起動してリカバリーモードに入る方法
ブートローダー上、音量アップ/ダウンキーでメニューを「Recovery Mode」に切り替え、電源ボタンで決定します。
「No command(=コマンドが指定されていません)」というメッセージと、ドロイド君が表示されます。
この状態で電源ボタンを押しながら、一度だけ音量アップボタンを押します。
これでリカバリーモードが起動します。
リカバリーモード画面では、音量アップ/ダウンキーで上下に選択カーソルを移動でき、電源ボタンで決定します。
このメニューで Wipe data / factory reset を選択すれば、スマートフォンを強制初期化できます。
以下のような状況下でも、強制的に工場出荷状態に戻すことができます。
- 端末暗証番号を忘れて、画面ロックを解除できない
- 端末がフリーズして、まったく先に進まなくなった
- タッチパネルが故障して、画面操作できない
より詳細な手順は、関連記事【Androidでリカバリーモードの使い方! 起動しないスマホを強制初期化しよう】で解説しています。

〆:ブートローダーを解除してAndroidを改造しよう
以上、Pixelでブートローダーをアンロックする方法! AndroidでOEMロック解除してBootloader Unlockしよう の説明でした。
Androidでマニアックな改造を施す場合、ブートローダーのアンロックが前提となるケースが多いです。
ただし相応のリスクもあるため、くれぐれも自己責任でお楽しみ下さい。
また本記事では、Pixelシリーズを例に説明しましたが、別機種の場合は手順がかなり異なります。
などのキーワードで調べてみて下さい。
ぜひ、ご参考あれ。
参考 Android source – デバイスのフラッシュ
参考 Android Source – ユーザー空間へのfastbootの移行
参考 Xiaomi MIUI – Unlock Your Mi Device
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