Androidには「USBデバッグモード」という裏設定があります。
主に開発者向けに用意されたモードで、パソコンとUSB接続してAndroidをコマンド操作できます。
が、よく分からず機能を設定すると、思わぬトラブルを招くリスクがあります。
そこで本記事では、Androidにおける「USBデバッグモード」の基本と、具体的に設定する手順を説明します。
単純にパソコンからAndroid内のファイル操作をするだけなら「USBデバッグモード」を使う必要はありません。
詳細は関連記事【AndroidとPCをUSB接続モードでファイル管理する方法! WindowsとMacをスマートフォンに繋いでデータ転送しよう】で解説しています。

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AndroidのUSBデバッグモードの基本
USBデバッグの特徴
Androidで「USBデバッグモード」を有効にすれば、USB接続したパソコンなどの機器からスマートフォンに対し高度な操作を行えます。
デフォルトではオフになっていますが、本記事後半で紹介する手順に従って操作すれば、比較的カンタンに設定できます。
以降よりUSBデバッグが必要となるパソコンの操作例を紹介します。
例:adbコマンドでAndroidをカスタマイズする
「adb(=Android Debug Bridge)」を使えば、通常の設定画面からは行えない高度なカスタマイズ指示をAndroidへ与えることが可能で、前提条件として「USBデバッグモード」を有効にする必要があります。
adbコマンドを使って実現できるコトは様々です。
例えば、すべての機種でSDカードを強制的に内部ストレージ化できます。

adbコマンドを使ってAndroidをカスタマイズできることは、まとめて関連記事【Androidをadbでカスタマイズできることまとめ! コマンドでスマートフォンを強化する方法の一覧】で解説しています。

例:パソコンでAndroidをミラーリングする
専用アプリを準備したパソコンとUSB接続すれば、Androidの画面をミラーリング(投影)することが可能で、前提条件として「USBデバッグモード」を有効にする必要があります。
例えばChrome拡張機能「Vysor」を使えば、USBケーブル経由でパソコンからAndroidの画面操作が可能です。

Androidをパソコンへミラーリングする方法は、関連記事【スマートフォンをPCにミラーリングする方法とおすすめアプリまとめ! iPhoneやAndroidの画面をパソコンに映して操作しよう】で解説しています。

USBデバッグのリスク
便利な「USBデバッグモード」ですが、次のようなデメリットもあります。
- USBデバッグを有効にするとセキュリティ上のリスクが増える
- アプリによってはUSBデバッグを無効にしないと起動できない
セキュリティ上のリスクが増える
「USBデバッグモード」は開発者向けに用意されたメニューであり、パソコンから様々なコマンドを送るため、内部ファイルのセキュリティが強制的に無効化されます。
例えば、ファイル転送モード(MTP/MSC/PTP)の設定に関わらず、USBデバッグが有効だとパソコンからファイルを書き出せてしまうなど、セキュリティ上どうしても脆弱となってしまいます。
ファイル転送モードなどUSB用途の基本について、詳細は関連記事【AndroidのUSB用途の基本! 最適な接続モードを使用してパソコンで認識しよう】で解説しています。

アプリによっては起動できない
先述の通り「USBデバッグモード」有効中はセキュリティが脆弱となるため、アプリによってはUSBデバッグを無効にしないと起動できないケースもあります(特に銀行系アプリが該当)。

三井住友銀行アプリの例。USBデバッグをオフにしないと使えない。
普段はUSBデバッグを有効/無効どっちにすべき?
このように「USBデバッグモード」は特別なカスタマイズを可能とする一方で、セキュリティ面でリスクを抱えている上級者向けのオプションといえます。
「頻繁にパソコンとAndroidをUSB接続する必要がある」などの特別な事情がなければ、普段はオフにしておくべき設定でしょう。
AndroidでUSBデバッグを有効にする方法
まず「開発者向けオプション」を表示します。
標準では非表示となっているため、「端末情報」の「ビルド番号」を連続タップして有効にする作業が必要です。

Xperia Z3(Android 6.0.1)での設定手順の例。
手順の詳細は関連記事【Android「開発者向けオプション」の基本と表示/非表示にする方法まとめ! デベロッパーモードで隠れ機能を使おう】で解説しています。

後は「開発者向けオプション」を開き、「USBデバッグ」をオンにすればOK。

Xperia Z3(Android 6.0.1)での設定手順の例。
パソコンとUSB接続中に「USBデバッグが接続されました」と通知が表示されます。
また初めて接続するパソコンの場合「USBデバッグを許可しますか?」と出るので、「このパソコンからのUSBデバッグを常に許可する」にチェックを入れればOK。
パソコンからのUSBデバッグを無効にする方法
先述した「USBデバッグを許可しますか?」というポップアップは2回目以降では表示されず、パソコン側で自動認識されます。
が、自分以外のユーザーが使用する可能性のあるパソコン(例:共用のパソコン / 一時的に借りたパソコン)の場合、AndroidとUSB接続するだけでパソコンから様々な操作をできてしまうため、セキュリティ上のリスクがあります。
利用が終わったら、パソコンからのUSBデバッグを無効に戻しましょう。
「設定」→「開発者向けオプション」より「USBデバッグの許可の取り消し」を実行すればOKです。
再度パソコンと接続する際は、「USBデバッグを許可しますか?」というポップアップが表示されるようになります。
USBデバッグを無効に戻す方法
「開発者向けオプション」から「USBデバッグ」トグルをオフにすれば無効に戻せます。

Xperia Z3(Android 6.0.1)での設定手順の例。
参考:
開発者向けオプションを無効に戻す方法
「USBデバッグ」のみならず「開発者向けオプション」自体を元の無効状態に戻したい場合です。
まず「設定」より「開発者向けオプション」を開き、最上部にあるトグルをタップしてオフに変えます。
すると「USBデバッグ」含め、(ほぼ)すべての設定項目が自動的に初期値へ戻ります。
次に「設定」アプリ情報ページで「ストレージ」を開き、「データを削除」を選択すれば、
「設定」内で「開発者向けオプション」項目が消えます。
より詳細な手順や「開発者向けオプション」の基本について、関連記事【Android「開発者向けオプション」の基本と表示/非表示にする方法まとめ! デベロッパーモードで隠れ機能を使おう】で解説しています。

USBデバッグを有効にしても認識できない原因
Androidの「USBデバッグ」を有効にしても、なぜかパソコン側で認識できないケースがあります。
この場合、次の点をチェックして下さい。
- Androidの画面ロックを解除していない
- USB接続が充電モードのままになっている
- 専用のソフトウェアをインストールしていない(Macのみ)
- セキュリティ系アプリが妨害している
- USBドライバがPCにインストールされていない
- PC側のUSBポートに問題がある
- USBケーブルに問題がある
- Android OSやパソコンのOSが古い
詳細は関連記事【AndroidをPCで認識できない原因と解決方法! USB接続の用途を設定してスマートフォンやタブレットをパソコンから表示しよう】で解説しています。

〆:USBデバッグでパソコンと接続しよう!
以上、AndroidでUSBデバッグを有効にする方法! 設定を解除する手順やリスクを解説 の説明でした。
パソコンとUSB接続してAndroidをコマンド操作したり、パソコン側のソフトと連携する場合に「USBデバッグの有効」が前提条件となります。
設定自体はカンタンですが、本記事で紹介したようなリスクもあるため、普段はオフにしておくべきでしょう。
ぜひ、ご参考下さい。
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