本記事では、AndroidのUSB接続用途について解説します。
USB接続で表示されるメニューの意味を知りたい方は、ぜひどうぞ。
USB接続用途の基本
スマートフォンをパソコンなどにUSB接続すると、現在のUSB接続モードの通知が表示され、タップすると切り替えることができます。
ここで表示されるUSB接続には様々なモードがあり、ざっくり4種類に分類できます。
それぞれ役割が異なるため、用途に応じて最適なモードへ変更する必要があります。
- ファイル転送(MTP/MSC/PTP)
- USBテザリング
- MIDI
- 充電のみ
本パートでは、各USB接続モードの内容を説明します。
ファイル転送(MTP/MSC/PTP)
ファイル転送に切り替えれば、パソコン⇔スマートフォン間でファイルを転送することが可能です。
ファイル転送モードは、さらに細かく3種類あり、転送できるファイルに違いがあります。
名称 | 転送できるファイル |
---|---|
MTP | すべて |
MSC | SDカード内のみ |
PTP | 画像ファイルのみ |
一昔前のAndroidでは、3つのファイル転送モードが選べました。
ここ最近のAndroidは、ファイル転送(MTP)とPTPの2つが用意されてるケースが多いです。
各モードについて、カンタンに解説します。
MTP
Media Transfer Protocol(メディア転送プロトコル)の略です。
近年のAndroidでは「MTP」と表示されず、単に「ファイル転送」となってる場合がよく見られます。
MTPモード中にUSB接続すると、Android内のすべてのファイルを操作できます。
MTPはAndroid 3.1から対応しており、どのUSB接続の用途にすればよいか迷う場合、基本的にMTPモードを選択しておけば問題ありません。
注意点として、MTPはWindows Mediaフレームワークの一部であるため、Windows OSは標準対応していますが、macOSでは専用ソフトのインストールが必要です。
関連記事 WindowsでAndroidとUSB接続する方法
MSC
Mass Storage Class(USB大容量ストレージクラス)の略です。
近年のAndroidでは見られず、一昔前のAndroidで存在していた接続モードです。
MSCモード中にUSB接続すると、AndroidにさしてるSDカードを外部メモリとして認識します。
MTPモードの方が汎用的で便利ですが、パソコンとの相性が悪い場合があり、そのようなシーンでMSCモードが活躍します。
注意点として、MSCモード中は、Android側でSDカードと連携するアプリを同時に使用できません。
PTP
Picture Transfer Protocol(画像転送プロトコル)の略です。
PTPモード中にUSB接続すると、パソコン側でAndroidをカメラとして認識します。
画像類だけに限定したモードとなるため、写真が保存されるフォルダ(例:DCIM / Picture)しかアクセスできません。
シンプルにAndroidに保存される写真を、パソコンから操作したいシーンで便利です。
関連記事 Androidのフォルダ構成について
USBテザリング
USBテザリングモードにすれば、有線でパソコンとテザリングできます。
Wi-Fiテザリング/Bluetoothテザリングと比べて、「通信速度が安定している」・「同時にスマートフォン側の充電もできる」等のメリットがあります。
ただ(Windowsではなく)Macと接続する場合、Mac側で追加のカーネル拡張HoRNDISをインストールする必要があります。
MIDI
Musical Instrument Digital Interfaceの略で、演奏データを機器間で転送する規格です。
MIDIモード中にMIDI機器と接続すると、Androidを楽器として使用できます。
充電のみ
Androidではバッテリー関連のUSB接続モードが2種類あります。
名称 | 役割 |
---|---|
充電モード | 接続先からAndroidへ充電する |
給電モード | Androidから接続先へ給電する |
各モードについて、カンタンに解説します。
充電モード
充電モードは、パソコンのバッテリーを使って、スマートフォンを充電できます。
ほとんどの機種で、デフォルトのUSB接続モードとして初期設定されています。
ちなみに別のUSB接続モード(例:ファイル転送モード)でも、同時にスマートフォンへ充電はできます。
そのため「あえてUSB接続を充電の用途に限定したい」シーンで活躍します。
給電モード
給電モードは、Androidを電源として、USB接続先を充電できます。
近年のUSB Type-Cに対応した端末に搭載される機能です。
例えば、どちらもUSB Type-C端子を搭載するスマートフォンとパソコンで接続するケースです。
- 充電モード中:パソコンを電源にしてスマホへ充電される
- 給電モード中:スマホを電源にしてパソコンへ充電される
このように、接続のホスト側 / クライアント側が定まらないUSB Type-C同士の接続において、給電モードを選べば(相手がパソコンでも)Android側をホストとして認識できます。
一方、給電モード中は以下の点に注意です。
- 電源となるAndroidのバッテリーが急速に減るリスク
- 電圧等の関係で、接続先によっては給電に失敗するリスク
関連記事 Androidを電源としてUSB接続先を充電する方法
USBのコントロールについて
USBの設定では、USBのコントロール(管理)という項目があります。
「このデバイス」と「接続デバイス」の2種類があり、以下のように使いわけます。
このデバイス | 接続デバイス |
---|---|
送信側(ファイル操作を”される側”)で選択 | 受信側(ファイル操作を”する側”)で選択 |
スマートフォンをパソコンなどにUSB接続すると、デフォルトでは「このデバイス」にチェックが入ります。
一方、スマートフォン同士で接続するようなシーンでは、操作”する”側は「接続デバイス」を選択します。
関連記事 Android同士をUSBケーブルでファイル転送する方法
また「接続デバイス」を選択中は、USB接続の用途を変更することができません。
もし「このデバイス」を選択しても、”切り替えができませんでした”と出て失敗する場合、使用しているUSBケーブルに問題があるかもしれません。
特に変換アダプターやハブをかませる繋ぎ方だと、該当する可能性が高いです。
しっかりパソコンとスマートフォンの口にあったUSBケーブルを使ってみましょう。
USB接続モードを変更する方法
USB接続の用途は、3パターンのやり方で切り替えできます。
- 通知から変更する
- USB接続設定から変更する
- 開発者向けオプションから変更する
通知から変更する
USB接続すると、Android側で通知が表示されます。
この通知をタップすれば、USB接続用途を切り替え可能です。
USB接続設定から変更する
設定アプリを開き、接続設定 → USB から、USB接続用途を切り替え可能です。
なおUSBメニューは、USB接続中でないと表示されません。
開発者向けオプションから変更する
開発者向けオプションから、USB接続モードを変更できます。
初めて開発者向けオプションを使う場合、設定アプリ内にある、デバイスのビルド番号を連続タップすると追加されます。
関連記事 Androidの開発者向けオプションを表示/非表示にする方法
開発者向けオプションのメニュー デフォルトのUSB設定 で、指定したいUSB接続の用途をチェックします。
これで切り替えできるほか、次回以降も選択した設定が適用されます。
関連記事 AndroidでデフォルトのUSB設定を変更する方法
補足:AndroidとPCをうまく接続できないトラブル
スマートフォンとパソコンを接続するとき、よくあるトラブルを2つ紹介します。
- USB接続モードを選んでも切り替えができない
- USBモードを切り替えてもPC側で認識できない
USB接続モードを選んでも切り替えができない原因
USB接続の用途を開いても、目的の接続モードへ切り替えできないケースがあります。
例えばUSBのコントロールが「接続済みのデバイス」となり、「ファイル転送」に切り替えできないなど。
これは使用しているUSBケーブルに問題があるかもしれません。
特に変換アダプターやハブをかませる繋ぎ方だと、該当する可能性が高いです。
しっかりパソコンとスマートフォンの口にあったUSBケーブルを使ってみましょう。
USBモードを切り替えてもPC側で認識できない原因
USB接続用途を「ファイル転送」などに切り替えても、なぜかパソコン側で認識できないケースがあります。
主な原因です。
Android側・PC側それぞれで確認が必要です。
原因 | Android側/PC側 |
---|---|
画面ロックを解除していない | Android側 |
USB接続用途が「充電のみ」のままになっている | Android側 |
データアクセスを許可していない(一部機種のみ) | Android側 |
USBドライバをインストールしていない(Windows向け) | PC側 |
専用ソフトをインストールしていない(Mac向け) | PC側 |
USBデバッグを有効にしていない | Android側 |
その他(セキュリティアプリの干渉、 USBポート/ケーブルの問題、OSバージョンが古い) |
両方 |
〆:AndroidのUSB接続モードを理解しよう!
以上、AndroidのUSB用途の基本! 最適な接続モードを使用してパソコンで認識しよう の説明でした。
AndroidでUSB接続モードを意識するのは、パソコンと接続するシーンがほとんどでしょう。
基本的に「パソコンと接続する際はファイル転送モードへ切り替える」と覚えておけば、困ることはないはずです。
それ以外のUSB接続モード含め、ぜひAndroidのUSB機能を整理してみてください。
関連記事 USBデバッグを有効にする方法
コメント
あっとはっく様
はじめまして。
androidのUSB接続について調べています。
こちらのページ後段に
「AndroidをUSB接続すると、「USB接続の用途」や「USBの使用」といったメニューが自動表示され、モード切り替えできます。」
と掲載されていますが、このメニューを表示しないようにすることはできないのでしょうか。「ファイルを転送する」以外は使うことがないので、接続するたびに表示されるこのメニューを無効化できたらと考えています。
突然不躾なお願いで恐縮ですが何か情報をお持ちでしたらお教え頂けないでしょうか。
使用端末:SO-03H
よろしくお願いします。
海外情報含め探してみましたが、USB接続時のダイアログ非表示の有効な対策は見つかりませんでした。。。
たしかに、毎回決まったUSB接続モードを選択しているなら煩わしいメニューですよね。
わざわざ調査までして頂いて恐縮です。
これからも記事を楽しみにしています。
ありがとうございました。